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「──────ッ!?」
急に身体が1跳ねしてから意識がハッキリした。
周りを見るとリビングのソファに寝ていたことがわかる。
冷や汗が滲み嫌な感覚が抜けきらない。
頭には月乃と三日月が浮かぶけど、何故かわからない、靄がかってる。
時計は8時を示しており、外は明るい。
もう学校に行かないといけない時間だと理解するのに数十秒要して、シャワーを浴びて高校へ向かった。
急いだ結果、余裕で間に合うだなんて。
ゆっくりしてればよかっただなんて後悔をしながら教室へと足を踏み込む。
──────なぁ、月乃は自殺らしいぞ。
──────虐められてたんだって。
──────ちょうどこのクラスから見える位置に落ちたらしいぞ。
クラス中の話のネタにされてて、笑われてて。
聴きたくなかった俺はイヤホンを耳に当てて机に突っ伏した。
笑みが絶えないアイツは虐められてなんかない、それは同じクラスだからコイツらはわかってたはずだ、それなのに掌を返して話のネタにしてるんだから嫌いだ。
「やっほー、聞いてよ聞いてよ、この時期にピッタリの都市伝説をさ」
俺のイヤホンを取ってまで話しかけんなよ。
栗色の髪を乱した陽菜を睨んでやると睨み返される。
「都市伝説なんて噂の一人歩きで誇張を重ねられたもんだろ。あんなん作ろうと思えば誰でも作れる」
「うるさいな、ロマンとかないわけ?取りあえず聞きなさいよ」
わかったよ、と小さく溜め息を吐いたところでチャイムがなる。
よかった、付き合わなくてす……
「じゃ、放課後ね」
ダメだった。付き合わなくてはならないみたいだ。
明るい日溜まりのような陽菜は自席へと帰ってく。
授業なんて簡単だ、月乃に教えるほうが大変だった。
詰まらないな。
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