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放課後、陽菜から聞いた話は馬鹿げた話だった。
都市伝説なんて、ただの噂、誇張された話。
まだコックリさんのほうが怖い。
コックリさんにも、ちゃんとした根拠があるのだけど、それはどうでもいい。
それよりも意味がわからない既視感だ、正夢と言うやつだったのかと思ってる。
でも、嫌な予感がするんだ。
陽菜の話の都市伝説。
記憶がない状態、奇怪な現象、幻覚、幻聴。
それだけのものが揃った時、今の俺の状態は当てはまってないのか?
ただ、記憶がなくなったわけじゃない。それが当てはまってない。
だから違う。絶対に。
言い聞かせた。違うと思い込みたかっただけかもしれないけれど。
「今日はハンバーグ食べたいの!!」
「昨日も食べたじゃないのよ、違うものになさい」
すれ違った親子の会話が流れてきた。
子供って無邪気だな。
夜御飯の会話かね。
「…………ッ。ちょっと待て、俺昨日何を食べた」
心臓が高鳴る。
鼓動が聴こえる。
思考回路が働く。
散歩を兼ねて歩きながら、脳はフルに回転してる。
昨日の食べた夜御飯どころか、何をやってたか思い出せない。
「何をしてた?TV観てたか?漫画読んでたか?誰かと話してた?」
全部違う。
思い出せないけど、違うってわかる。
駄目だ、落ち着こう、落ち着ける場所に行かなきゃ。
傾く夕日を背に、目指すのは高層マンションだった。
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