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屋上のドアを開けて、視界に広がるのは、ほぼ暗くなっている空。
「……痛ッ───」
脳に痛みが走る。
この光景も見たことある。
一気に色々な情景が頭に流れてきた。
いや、思い出したと言うべきだろうか。
流れてきたものは全て、違和感を覚えた時の光景だった。
更に見たことがなかった、これから起こる事。
陽菜がここに来るなんて事が……
「あ、ここに居たんだ?」
俺の頬を汗が蔦る。
嘘だろ?
ぎこちなく、錆び付いたロボットのように、ゆっくりと振り返ると、
陽菜が此方を見てた。
もしかして、俺。
都市伝説に
「な、なぁ、陽菜。お前、あの都市伝説について他に知ってることないのか?」
口端をニィ、と吊り上げる陽菜。
無意識に一歩足が退けた。
「もちろん知ってるよ。どうかしたの?」
一歩踏み出してくる。
それに合わせて一歩下がる。
温い風が俺を突き抜ける。
見たことがないほどの静かな笑みを浮かべる陽菜に気圧されないように青いブレスレットに触れた。
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