第1章 仮面をつけた化物。

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ー僕は、素顔を見せない。 これからも。 ずっと。 心の仮面を外さない。 僕の話をするにあたって、まずは僕の過去から話していかなくてはいけない。 そう。 僕がまだ「普通の人間」として生きていた頃の話を。 まだ高校生になったばかり。 高校ではどんな部活に入り、どんな生活をしていこう、などと、ありきたりすぎることを考えていた中学生から、ほんの1センチ、いや1ミリも成長していない、入学式の後から語らせていただく。 僕の名前は「影山 真(かげやま しん」だ。 「名前の意味は?」なんてことは聞かないでほしい。 なぜか? 親にそんなことを聞いたことがないからだ。聞いたことがないどころか、話したこともない。 僕が生まれて直ぐに、両親は交通事故で亡くなったのだ。不幸中の幸いというのか、僕は祖母の家に預けられていたために無事だった。 他に自己紹介するとするなら友達作りは苦手だ。中学生時代に友達と呼べる人はいなかった。 そんな自分を変えようとも思うのだが、なかなか変われないのが人間というものだ。 実際、入学式が終わった今も、教室にクラスメイトはたくさんいるのだが、話しかけもせずに本を、小説を読んでいる僕がいる。 別に好きでもないのに小説を読む僕の今の心境は 「帰りたい。」だった。 このまま、一人で高校生活を送るのも悪くないのかと思っていた。否。思っていられた。この頃は。 「影山!」 ーーー!?え? 突然話しかけられた。クラスメイトの男子のようだ。嬉しさよりも驚きが大きくて、僕の名前を呼ばれたことに対する返事は 「うがっ。」 になった。
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