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ヨシが舌を出した。
そこでマナは顔を上げた。
「やだ、まだ早いってば。もうちょっと休ませてよ」
「わかったよ」
ヨシはふいっと顔を横に向け、少し拗ねた素振りを見せた。
そのとき、ヨシの左耳がマナの目に留まった。薄暗い穴の中に、白のような、黄色のような、小さな欠片が見える。
マナは眉をしかめた。
「あーもう、ヨシ君、また耳かきサボったでしょ~!」
「う」
「う、じゃないよ! もう、清潔にしてないとモテなくなっちゃうよ」
「いいよ、マナがいたらそれで」
「私だって清潔な人がいいもん」
「じゃあ、今度取ってくるって」
「いつもそう言ってきれいにしてこないからさあ」
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