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 目標物に先端がかかった。  落とさないように、ちぎらないように、そっと先端を引っ張っていく。何度か引っかけ直しながら、ヨシの耳穴の中にある塊を外へ導いていく。 「……うわあ」  ずるずると引っ張り出してみたが、マナの予想よりも長さがある。  耳穴から3センチほど離れたところまで取り出したにも関わらず、耳垢の尻尾はまだ穴の中だ。 「ヨシ君、なにこれ」  うわあ、うわあと言いながら、マナはゆっくりと耳垢を引っ張っていった。  通常の耳垢と言えば、大きくても小指の先くらいのサイズだろう。それが、糸のように細長く、どこまでも続いている。  ……おかしい。  マナが疑問を感じたそのとき、薄黄色だった耳垢の色が赤く変わった。  感触も、パリッとちぎれそうな乾いたものから、ぬるぬると湿ったものに変わっていく。 「な……」
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