第1話

10/10
152人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
暴れる僕を抑え込もうとした葛原さんのくちびるが、僕のくちびるに触れた。 岡野(え?わ、そんな、キスしてる!?) 事態を受け入れられず、目を大きく見開いて、感情も止まる。 岡野(なんで、今、偶然?でも……) どく、どく、どく、どくと耳のすぐ下に、心臓があるみたいだ。 カーッと体温が一気にあがって、頭の中は真っ赤になる感じ……。 驚きすぎて、羞恥を感じるのが遅れたーー。 岡野「わーーーーっ!!」 どんっと葛原さんを突き飛ばして、僕は息を整える。 葛原「こっちだって、好きでキスしたわけじゃないぞ。事故だ。いや、お前からしてきたんだから、もらい事故だな」 むっとした顔で、僕をじろりと葛原さんが睨む。 その視線だけでも、びくっと震えてしまった。 動揺を隠そうと、とっさに葛原さんに背を向ける。 岡野「わ、わかっています。ちょっと、いろいろあって」 (まだ、心臓が痛い。わし掴みされたみたいだよ) 葛原「お前さ……もしかして、人に触られるのが怖いってやつか?」 岡野「っ!!」 ゆっくりと振り返り、葛原さんを見た。 岡野(バレた!!!!)
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!