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岡野「すみません。実は……接触恐怖症で……人に触られるのが、極端に怖いんです。でも、このことは、どうか言わないでください」
葛原「なんで?」
岡野「だって、会社をクビになるかも……」
葛原「そんなことでクビにはならないだろう」
岡野「でも、仕事に支障が出ます」
葛原「それじゃあ、俺の言うことを聞くか?」
岡野「へ?」
葛原「子分になるなら、黙ってやっててもいいぜ」
岡野「子分……?冗談ですか?」
きょとんとしたまま返すと、くいっと口角をあげられた。
葛原「育ちがいいんだな」
岡野「あの……」
(どういうこと?)
葛原「子分ってのは、冗談だ。だいたい後輩なんだから、もともと子分みたいなもんだしな。取引材料にもならない」
岡野(そうなのかな?)
葛原「とりあえず、黙っておいてはやるよ」
岡野「ありがとうございます」
(よかった……せっかく就職できたのに、いきなりクビじゃ……)
葛原「ただし、仕事については、容赦しないからな」
岡野「はい。その方がいいです」
(甘く見てくれってわけじゃないから……)
葛原「ふん、わかった。とりあえず、資料を持ってこいよ。その前に、ここ片付けとけ」
岡野「はい」
(よかった……んだよね。それとも、とんでもない人に弱みを握られたってことなのかも……)
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