第2話

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岡野「すみません。実は……接触恐怖症で……人に触られるのが、極端に怖いんです。でも、このことは、どうか言わないでください」 葛原「なんで?」 岡野「だって、会社をクビになるかも……」 葛原「そんなことでクビにはならないだろう」 岡野「でも、仕事に支障が出ます」 葛原「それじゃあ、俺の言うことを聞くか?」 岡野「へ?」 葛原「子分になるなら、黙ってやっててもいいぜ」 岡野「子分……?冗談ですか?」 きょとんとしたまま返すと、くいっと口角をあげられた。 葛原「育ちがいいんだな」 岡野「あの……」 (どういうこと?) 葛原「子分ってのは、冗談だ。だいたい後輩なんだから、もともと子分みたいなもんだしな。取引材料にもならない」 岡野(そうなのかな?) 葛原「とりあえず、黙っておいてはやるよ」 岡野「ありがとうございます」 (よかった……せっかく就職できたのに、いきなりクビじゃ……) 葛原「ただし、仕事については、容赦しないからな」 岡野「はい。その方がいいです」 (甘く見てくれってわけじゃないから……) 葛原「ふん、わかった。とりあえず、資料を持ってこいよ。その前に、ここ片付けとけ」 岡野「はい」 (よかった……んだよね。それとも、とんでもない人に弱みを握られたってことなのかも……)
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