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働き始めて数日ーー。
今日もオフィスで、なんとか仕事をこなしていく。
岡野(今のところ、誰にもバレてないみたい……葛原さんも、黙ってくれてる。からかったりもしないし……)
ほっとしていると、肩に手を置かれた。
土師「岡野、さっきのファイルの間違い、どうした?」
岡野(同僚の土師さんだ……手、どけてくれないかな?)
ぶわっと背中に冷や汗が出る。
岡野「今やってるこれ、あと少しですから。終わったらやります」
土師「そう言わずに、先にしてくれよ。肩もみしてやるからさ」
岡野(それは無理、というか、ダメ)
葛原「土師、自分の仕事だよな、それ。じゃあ、自分でやれよ。そいつは俺の直の部下なんだからな。仕事を頼むんなら、俺を通せ」
厳しい声に、手が離れていく。
岡野(ほっ……)
土師「まったく、葛原はわがままだよなー」
岸「どっちがだ」
パコンッ。
岸さんが、土師さんの頭をまとめた書類で軽く叩いた。
岸「お前は、ちゃんと自分の仕事をするように」
土師「……はーい」
葛原「ふん」
岡野(……葛原さんって……もしかして、かばってくれたのかな?仕事だけじゃなくて、触られないように……)
僕はそっと葛原さんの席に行くとーー。
岡野「ありがとうございます」
ぼそっと告げた。
葛原「調子のいい同僚をいさめただけだ。あいつ、いつか締めてやらないと、調子づいてるからな」
ぷいっと横を向かれる。
岡野(あれ?気のせいだったのかな?でも……)
ただ、そう言われたら、もう何も言えない。
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