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岡野(わー、外にお使いに出たら、雨に降られちゃったよ)
夕方、オフィスに着くなり、僕は雨で濡れた自分のスーツや髪をハンカチでぬぐう。
岸「かなり濡れたな。そのスーツ、ちゃんと乾かさないと、形が崩れるぞ」
岡野「そうですね」
岸「それにしても……」
岡野「はい?」
岸「岡野の髪はくせっ毛だから、雨が降るとくるくるなるんだな。おもしろい」
岸さんが、僕の頭に腕を伸ばそうとする。
岡野(ひっ!)
思わず肩をすくめた。
目を閉じて耐えようとしたとき、岸さんを呼ぶ声。
葛原「岸さん、すみません。わからないことがあるんで、見てください」
岸「わかった。今、行く」
伸ばされかけていた腕は、戻された。
岡野「っ!!」
(今、助けてくれた……よね)
ちらっと葛原さんを見るけれど、素知らぬ顔。
でもーー。
岸「ここか?いや、これくらい、お前なら簡単だろ?こうすればいいだけだ」
葛原「あ、そうですね。すみません。ぼんやりしてて」
岸「しっかりしてくれ。若手の中でも、お前はホープなんだからな」
葛原「気をつけます」
岡野(やっぱり……)
ちょっと気まずそうな顔に、ドキドキしてきた。
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