第2話

4/9
前へ
/36ページ
次へ
岡野(わー、外にお使いに出たら、雨に降られちゃったよ) 夕方、オフィスに着くなり、僕は雨で濡れた自分のスーツや髪をハンカチでぬぐう。 岸「かなり濡れたな。そのスーツ、ちゃんと乾かさないと、形が崩れるぞ」 岡野「そうですね」 岸「それにしても……」 岡野「はい?」 岸「岡野の髪はくせっ毛だから、雨が降るとくるくるなるんだな。おもしろい」 岸さんが、僕の頭に腕を伸ばそうとする。 岡野(ひっ!) 思わず肩をすくめた。 目を閉じて耐えようとしたとき、岸さんを呼ぶ声。 葛原「岸さん、すみません。わからないことがあるんで、見てください」 岸「わかった。今、行く」 伸ばされかけていた腕は、戻された。 岡野「っ!!」 (今、助けてくれた……よね) ちらっと葛原さんを見るけれど、素知らぬ顔。 でもーー。 岸「ここか?いや、これくらい、お前なら簡単だろ?こうすればいいだけだ」 葛原「あ、そうですね。すみません。ぼんやりしてて」 岸「しっかりしてくれ。若手の中でも、お前はホープなんだからな」 葛原「気をつけます」 岡野(やっぱり……) ちょっと気まずそうな顔に、ドキドキしてきた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加