第2話

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数日後ーー。 高層ビルの見えるオフィスの窓が、暗く沈んでいる。 少し遠くで、空がごろっと鳴った気がした。 岡野(ひと雨来そうかな……?) 「それにしても、このコピー機、紙詰まりで動かないっ。えいっ」 どんっと叩いてみるけれど、うなるような声をあげただけ。 葛原「なにしてる?」 岡野「すみません。どうも、うまくコピーできなくて」 葛原「どけよ。不器用だな」 手でしっしっと追いやられるようにされ、引きさがる。 すると、葛原さんがコピー機の横を開けて、詰まっていた紙を取り除き、どこかいじっていた。 葛原「これでいいから、やってみろ」 岡野「はい」 早速、コピーボタンを押すと、今度はスムーズに紙が排出された。 岡野「ありがとうございます」 葛原「お前のためにしてやったんじゃない。仕事が滞るからな。早く自分で、始末できるようになれよ」 岡野「はい「」 (葛原さんって、口が悪いけど、ちゃんと手助けしてくれるんだよね。……さ、仕事!あと、10部かな?) と、コピー作業を進めていると、葛原さんが席に戻らずに、外を見ている。
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