プロローグ

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オフィスを案内するという喜多嶋社長と社長室を出ると、すぐ僕と同世代くらいの男性社員が傍に来た。 葛原「社長、鷲見社長がお見えです」 喜多嶋「またか……アポもなしに……。あいつのことだから、雑談でもしに来たんだろう。葛原、後を頼んだぞ。新人君に社内を案内してやってくれ」 そう言って、喜多嶋社長は行ってしまった。 葛原「俺はデザイナーの葛原。お前、新人の岡野だろ?」 岡野「はい。よろしくお願いします」 ちらっと葛原さんを見る。 裾からわずかにのぞいた靴は、僕では選ばないようなハイカットの靴。 岡野(この人もスーツだ。でも、着崩しているように見えて、オシャレだよな。あのタイって、ラリネッラ?) ラリネッラは通の間でもインパクトのある商品だって評判のブランドだ。 岡野(無造作に跳ねてるように見える髪型も、ちゃんとセットしてあるよね) よく見れば、ちゃんとしたブランドスーツにセレクトショップからチョイスしたようなタイを合わせている。 自分のセンスを信じたファッションのよう……。 高いものもそうでないものも気にせず合わせている感じは、逆にお金に不自由してない印象を受けた。
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