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葛原「鷲見社長っていうのは、わが社にとってはライバルである、株式会社リーラルのトップだよ」
僕が黙っていたから、それが気になると思ってか説明してくれる。
岡野「え!?リーラルって、この前ラビットランドの30周年記念イベントを取り仕切った会社ですよね」
そう言えば、細身のタイがよく合うイタリアンスーツ姿を何度もテレビで見かけた気がした。
葛原「気になるのか?深入りしない方がいい。あの人はバイセクシャルだからな」
岡野(バイって、男性でも女性でも好きになる人のことだよね)
「いえ……あの、気になるのは……」
そう言うと、さっと視線を葛原さんの足元へと落とす。
岡野「そういう靴、なんて言うんですか?」
葛原「チャッカブーツの事か?」
岡野(へえ、そう言うんだ。覚えておこうっと)
「……あの、葛原さんって、デザイナーさんですか?」
葛原「はあ?なんで?」
気さくなのか、なんなのか、いきなり口を尖らされた。
岡野(なにか、まずいこと言ったかな?)
「センスがいいし、色遣いが……きれいだなぁって……」
褒めると途端に葛原さんは、ぷいっと横を向く。
岡野(え?耳……赤くない?照れてる?)
葛原「そうだよ、デザイナー。お前、新人の岡野だろ?」
岡野「はい。よろしくお願いします」
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