プロローグ

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視線をあげると、葛原さんが頭のてっぺんからつま先まで僕を観察し始める。 葛原「……お前……なんか小動物みたいだな?」 岡野「へ?」 葛原「あー、そうか」 すっと彼の手が僕の胸元へと差し入れられた。 びくっと体が硬直する。 岡野(うわあああああぁっっ!?) 葛原「1個半以上開いてるな。それで、よけい小さく見えるんだ」 驚いたけれど、こぶしにしているところを見ると、身幅をチェックしているらしい……。 岡野(なんで……?胸がざわざわするよ……) 葛原「それ、リクルートスーツのままだろ?しかも既製品だな。袖口が隙ありすぎで肩幅もあってない。ちゃんと採寸してもらった方がいい。仕事できないうちは、格好だけでもぴしっとしとけよ」 岡野「すみません。初めてで……」 葛原「ボーナスが出たら、仕立て直した方がいいんじゃないか?」 岡野「そ、そうします」 身を堅くしながら、僕は答えた。 すっとようやく手が離れていく。 岡野(わぁ……まだ……触られた感覚が残ってる……) 僕はばくばくする心臓の音を鎮めようと、ゆっくり深呼吸をした。 無防備な僕に大胆に触れてきた葛原さんに、かすかな怯えを感じる。 岡野(全身に立った鳥肌に気づかれてないといいけど……)image=483021766.jpg
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