プロローグ アーベの業火

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 それは遠い遠い過去の話。  広い広い平原に一つの国があった。  そこは大きな国だったと言う。   水は豊かで食料にも恵まれたよい国だった。  さらに隣国との戦争に勝ち、領土を広げ、国は大いに栄えていた。  そんな時、一匹の魔物が国の領土内に現れた。  魔物は稀に見る強力さで各村々を襲い人を喰ろうていた。  魔物は喰えば喰うほど力を吸収し、やがて地方を固める騎士では全く歯が立たなくなっていった。  そうして、ようやく王宮は重い腰を上げ国の主戦力である正規騎士団の一部隊を魔物討伐へと任命した。  その中にまだ若い一人の青年がいた。  まだ着任したばかりの新米の騎士だった。  同時に青年は念願叶って婚礼を終えたばかりだった。
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