女一匹、ホラーな日常。

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草木も眠る丑三つ時。 ――だったかどうかは覚えていない。 真夜中、引き絞られるような苦しさに、目が覚めた。 普段は一度寝たらテコでも起きない、睡眠大好き人間の私が、である。 夜中にトイレに起きたとしても、記憶にない。 トイレに行く途中の廊下で派手にスッ転び、青アザを作ったとしても、全く覚えていない。 一度寝たら起きないことにかけては、筋金入り。 その私が。 あまりの苦しさに目を覚まし、そして、 それが未知との遭遇の始まりであった。 山口県の瀬戸内海に面した、とある街の外れに、我が家はある。 固定資産税評価額わずかに77万円。 既に減価償却しきった、築45年の木造平屋建て一軒家。 家が奥まった場所にあり、道から見えないのをコレ幸いと、庭は荒らし放題。 雨上がりや露に濡れた朝、 庭を歩くと、膝から下はびしょ濡れになるほどの、草ボーボー。 私のいつも歩くルートだけが、獣道となって草が生えないという、恥ずかしながらの体たらく。 人呼んで 『🌕🌕地区のオバケ屋敷』 そんな我が家で、ズボラを極めた一人暮らしを謳歌しているオバちゃん。 それが私である。 元来、我が家は何人たりとも来る者拒まず、出入り自由。 近所の子供も入って遊ぶし、私も鍵などかけず……いや戸すら開きっぱなしで、ホイホイと出かける。 第一、鍵がない。ある日うっかり紛失したらしく、 そのうちひょっこり見つかるさ。 と思っていたら、いつの間にやらそれから10年経っていた。 田舎万歳である。
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