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出張から帰って翌日ーー。
オフィスの中は、今日も慌ただしい。
岸「岡野、これのコピーを取ってくれ」
岡野「はい」
すぐにコピー機のそばへと向かう。
岸「なんか、岡野の雰囲気変わってないか?」
葛原「そうですか?」
岸「ああ。前はもっとおどおどしてたのに、なんか壁がなくなったというか……」
葛原「仕事に慣れてきたんでしょ?」
岸「そうだとしたら、喜ばしいな」
岡野(葛原さんとの特訓の効果だ。書類の受け渡しのときだって、指先が触れるかもって怖がらなくて済むようになってきたからね)
自信を持つにしたがって、仕事にも積極的になれてきた気がする。
岡野(調子いいよね、僕って!)
意気揚々という感じで、デスクに戻った。
葛原「いいみたいだな」
岡野「はい。これも、葛原さんのおかげです」
葛原「俺はいじめる相手ができて嬉しいから、別に礼なんていらない」
葛原さんがそんなことを言いながら、湯気のたつコーヒーカップに手を伸ばそうとした。
その手が滑る。
葛原「あつっ!!」
カップがひっくり返り、熱いコーヒーが葛原さんの手にかかった。
岡野「大丈夫ですか!?」
僕はとっさに、葛原さんの手を取る。
本当に無意識に、そうするのが自然な感じで……。
でもそれは、接触恐怖症の僕にとっては、画期的なことだったーー!
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