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ぱっと手を離して、目を白黒させた。
葛原「自分で驚いているのか?」
岡野「だ、だって……心配で……」
葛原「俺のことが?」
岡野「そうですよ。心配です。恩人ですから」
葛原「……恩人ねぇ……」
岡野「えっと、あとは氷で冷やした方がいいですよね」
葛原「大丈夫だから、もううろちょろするなって」
行こうとした襟首を、葛原さんにつままれた。
岡野「は、はい」
(あ、こういうのも平気になってる……ただ、どぎまぎするだけで……)
葛原「仕事に戻るぞ」
岡野「そうですね」
襟首から手を離すとき、すっと、うなじのあたりを触られる。
ぞくっとして、首をすくめたけれど、葛原さんは何でもない顔。
岡野(気のせい……かな?わざと触られた気がしたけど……)
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