第二章

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「どうぞ。」 「あ、どうも。」 ......どうしてこうなった。 神田は地下一階、電気設備科のデスクの席でお茶の入ったカップを見つめる。 先程、煮干しをくわえていた女性が自分が開けたドアにぶつかった神田に対して、詫びのしるしとしてお茶を出したのである。 神田はお茶を啜りながら、部屋を見渡した。 少し埃っぽい部屋で、神田のいる部署よりも随分と狭い。 デスクは五つあり、女性が座っているデスク以外に人影はない。 「あの、あなたが”でんせつの佐藤さん”ですか?」 神田の問いかけに女性は飲んでいるカップから神田へと視線を移して「そうですよ。」と短く答えた。
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