第二章

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「私が”電気設備科”の佐藤です。」 佐藤は肩まであるふわふわとした髪の毛を耳にかけた。 拍子抜けだった。 神田は溜め息を吐いて、期待した自分が馬鹿だったなと苦笑いする。 神田の目の前にいる佐藤はごく普通の女性に見える。 ボブカットのねこっ毛が柔らかそうな髪の毛に少しつり目で淡々とした口調 の佐藤は確かに猫っぽい。 ドアの前の”電気設備科”の文字を見た時点で期待などなくなったがそこの”佐藤さん”には少し興味があった。 「あの、他の人はどこに・・「仕事です。」 控えめな神田の声をかき消すように佐藤の返事は早い。 「電気設備科って具体的には何をされているんですか?」 気にするな俺!あれが佐藤さんのデフォなんだ! 神田が負けじと会話に食い付く。 「そうですね・・・私を入れて電気設備科は四人なんですが、一人は向かいのビルの自販機の移動を。後の二人は猫を探しに行っています。」 「・・・・・え?」 予想外の答えに神田は口を歪ませた。
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