第6話◆恐怖

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頭にバスタオルを載せて、ペットボトルのミネラルウォーターを喉に流しながら、かなりセクシーな装い。 “風呂上り”だと、聞かなくても分かる。 髪の毛からは、ポタポタと雫が落ちていたから……。 グッと息を呑んでしまいそうになる、その立ち姿。 カメラがあったら、被写体にしたいぐらい絵になるオトコだ。 私はもうちょっとこのイケメンを見ていたかったけど、でもその気持ちをググッと堪えて、 「……おはよっ」 とりあえず挨拶をしてみた。 ……だけど目の前の男は、私と確かに目が合ったにも関わらず、フッと視線を逸らして背を向けた。 そして私が歩いてきた廊下を突き進んでいく…… その軽快な足音がやけに耳について、何だか腹立たしい。
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