第6話◆恐怖

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……ドクドクと五月蝿いほどに鳴り響く心臓の音。 原因は分かってる。 至近距離で見つめてくるイケメンのせいだ。 「心配するな、別にとって食おうと言うんじゃねぇーし」 「じゃあ、この体勢で話を聞けって言うの?」 「そうだ」 神祁にとってこんな事は日常茶飯事なのか、それとも私みたいな女は、意識するのに値しないのか、……その表情は全く変わらない。 悔しいけど、緊張の色を見せているのは私だけのようだ。 大人しくなった私の態度に安心したのか、神祁は静かに口を開いた。 「風呂、鍵ついてるだろ?」 「……」 「かけろよ、馬鹿だろ、お前?」 「あッ!」
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