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その瞬間、
「っ、」
ぷしゅっ!
伸びてきた手に、鼻を摘まれた。
「ふんがー」
「泣くんじゃねぇーよ! 俺は女の涙は嫌いだ。それにこれからは、泣いたって誰も助けてはくれないんだ。お前は戦わなきゃならないんだからな」
と言った神祁は、ゆっくりと離れた。
壁に固定されていた私の身体は、自由の身となる。
でもこの時私には、神祁の放った言葉の意味が分からなかった。
……戦う?
一体誰と!?
もしかしてここの住人と?
住人全員が、私を襲いにくるとでも言いたいの!??
それからすぐに、神祁と入れ替わりにやって来た碧沃に案内された部屋は、自分の部屋の何倍もある広さだった。
今日から私の新たな生活が始まるのだ。
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