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葛原「お前、どうした?震えてるぞ?」
岡野「ちょっと、……」
(どうしよう。暗いと、事故を思い出しちゃうよ……怖い。父さんと母さんを失った日のことが、フラッシュバックする!)
耳の奥底からサイレンが聞こえてくる。
それが、胸を潰しそうだ。
葛原「岡野、大丈夫か?」
岡野「大丈夫じゃないみたい」
ガチガチと歯を鳴らしながら答える。
葛原「じゃあ、俺を頼れよ」
岡野「っ!!」
目を見開き、声の方に顔をあげる。
葛原「ヒロっ、俺には甘えろ」
初めて名前で呼ばれたと思った後、包み込むように優しく胸に抱きこまれた。
岡野「っ!!」
息が止まる。
それと、同時に震えも止まった。
葛原「……ヒロ」
また熱く耳元で名前を呼ばれた。
岡野「すみません。事故のこと……思いだしちゃって……足がすくんで……」
鍛えられたしなやかな筋肉に覆われた胸元に、僕はすがりつく。
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