第8話

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岡野(もう、離れようと思ったのに……でも、今だけは……) 葛原「俺が触れるのは、いいんだよな。それとも抱き締めたのは、まずかったかとか言うのか?」 岡野「いいえ……いいんです。少しだけ、このまま……」 ようやくそう言えると、葛原さんがぎゅっと抱きしめる力がより一層強くなった。 岡野(……葛原さん、あったかい……さっきまで、あんなに怖かったのに……今は、気持ちが落ちついてる……) あたたかく包み込んでくれる腕の中、僕は大きく息を吐いた。 葛原「ん?復旧するようだぞ」 岡野「あっ」 パチパチっと、あたりが明るくなる。 それと同時に、僕は葛原さんから体を離した。 岡野「ありがとうございます。おかげで、落ち着けました」 葛原「別に……こっちだって大声を出されたら、たまらないからな」 岡野「……そ、そうですよね。僕、いつも迷惑かけて……」 葛原「ちっ」 もどかしそうに、葛原さんが舌うちする。 葛原「違う」 岡野「え?」 葛原「俺を頼ってくれていいって言っただろ?」 岡野「……でも、それに甘えちゃって……」 (もう、こんなことは止めようって思ってたのに……) 葛原「それでいいって話してるんだろ?」 岡野(いらつかせてる?やっぱり僕が、変に甘えたから?) 「エレベーターからは、もう出られるんですよね?」 扉の前に立つと、いきなり閉ボタンを押された。 岡野「っ!!」
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