Ⅸ 感傷的に消えず、暴力的に死す

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 遮蔽物まで走った智和は身を隠す。走っている最中に敵の位置は大体把握していた。銃撃の僅かな間を狙い、ブースターを使って素早く狙いをつけて引き金を引いた。  ララと恵による釘付け、智和の陽動、新一とフランチェスカによる狙撃。三つが相俟って状況を優勢に運びつつあった。  しかし、それも限界がある。やはり数と装備の力の差はなかなか埋められることではなかった。  次々に来る援軍と武器の圧力。数の暴力は絶対的な差がある場面で、膠着状態が続いた。 「新一なんとかしなさいよ!」 『無理言わないでもらえます姐さん!? 暗視装置とか持ってきてないンすから!』 「撃つのは誰よりも得意なんでしょチビ!」 『褒めてンのか貶してンのかどっちッスかそれ!?』 「それしか取り柄ないんだからとっととどうにかしてくれる!?」 『ララさんまでそんなキャラになるの!? 泣きそうなンすけど!』 『仲いいな、お前ら』  無線越しに聞こえるやり取りに溜め息を漏らした智和は身を乗り出して撃ち、また隠れる。  数は減る。しかし時間がかかる。これでは沙耶の救出に間に合わない。何かあれば駄目だ。智和は考える。
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