Ⅷ 然して我らは抗う

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──────────  各々がIМIへと戻ってきた。  如月と千早は学園長室に戻り、訪れた長谷川に茶封筒に入れられた資料を差し出した。長谷川はなにも聞かず、黙って受け取った。使った後は好きにしていいと言われた。  どこで誰から手に入れたのか、長谷川は詳細を聞かなった。聞けば如月の機嫌を損ねるとわかっていたし、だいたいの察しはついていた。なにも聞かず、二つ返事で礼を言った長谷川は学園長室から出ていった。  情報を解析する為に琴美に電話をかけた。病院で用事を済ませ、恵と瑠奈を回収して智和と一緒にIМIに戻ってきたことを聞いた。琴美を呼び出し、智和達には舞台としてすぐ動けるよう準備しておくことを告げた。  連絡を受け、琴美を普通科校舎まで送った智和達は寮に戻り、いつでも行動できるよう準備と進め、来るべきに備えて僅かな休養を与えていた。  瑠奈はララに出迎えられ、一先ずシャワーを浴びた。着替えたものの、血の匂いがこびりついていた。簡単にとれるものではなかったが、多少はマシになった。浴び終えて、ララが作ったサンドイッチを食べて準備を進めた。  恵もさっとシャワーを浴びた。ショーツ一枚の格好でクローゼットを空け、装備を出して確認をする。ベッドの上に広げ、銃や装備の点検を進める。前なら、同居人の呆れ声や料理の匂いがしていた。今は火薬とオイルと血の匂いしかしない。金属部品の音だけが寝室に響く。こうならない為、相手を殺して必ず取り戻す意志が強くなっていた。  智和は手早く装備を確認し、いつでも動ける準備を終えた。ソファに寝て天井をじっと見る。沙耶との記憶を思い出す。決して多くなかったが、印象に残っていた。彼女と話したこと。自分について。どんな思いでここまで来たのか。携帯電話に着信がくるまで、ずっと考えていた。
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