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「何故だ?」
「だって……こんなのおかしいよ? 間違っている」
「おかしい? 間違っている? ああ。そうさ。この下で戦っている奴等は皆そうなのだ」
彼女の言葉に否定をしなかった。が、どこかズレた返答だ。
考え方の相違、スレ違いが二人の間に起きているのである。
「だから全てを消せば良い」
「――ッ!」
嘘ではない。
本気でそう思い、実行しようとしているのを少女は感じ取ってしまった。
どうすればこんなに歪みきった思想を持つ事が出来るのだろうか?
「全てを消したら何も残らないよ? それで良いの? 誰も……あなたも喜びはしない」
「他の方法で――結末で私が満足すると思うのか?」
どんなに説得を試みようと全て一蹴される。
それ程に、彼女と相対する人物の闇は深く、おぞましい。
周りでは幾重にも爆発が起きる。空には戦闘機が飛び交い、瞬く間に火の海を広げ、ここまで熱を帯びさせた。
更に、不可解な現象が辺りを包んでいた。
不自然な程に巨大な荊が建物を破壊したり、あちこちで突風が吹き荒れたり、無数のビルが重なり、暴れたりしている。
一体何なのだ?
ただ、この場の二人は別段驚いたりはしていなかった。
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