【序章】

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「今更どうしようと何もかも元に戻る事は出来ない。そんなに現実は甘くないのだから」 「……」 少女は押し黙る。 悲しそうに語る相手の言葉を否定する事は出来なかったのだ。 自分自身も共感する部分があるのだから―― 「お前なら判るだろう? 私達は幾ら望もうとどうにもならないと……」 「それは……でも…」 「まだ判らないか……」 その瞬間。相手の背後に影のような黒いモヤが多数出現する。 まるで生きているように蠢き、暴れ狂う。 この世の絶望を具現化したみたいに―― 「神なんていやしない! 奇跡だって有りやしない! 有るのは……」 その全てが少女に襲い掛かる。 が、彼女を突如渦巻く澄んだ蒼い光が阻み、千切るように消し去る。 これだけ見れば判る。 正にそれは―― 「魔法だけだ」
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