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第4章
「ねえ。少し離れて歩く?」
ふと、落ち着かない気持ちになって、
美和は言った。
「なんで?」
「人に見られたら、まずいんじゃない?」
「何を?」
首をかしげる柴田に、
美和は目でつないだ手を見た。
「会社の人、まだその辺にいるかもしれないし」
柴田は笑った。
「あはは。美和さん、そんなこと気にするんだ」
「そんなことって」
そりゃ、気にするでしょ。
美和は笑いごとで済ませようとする柴田を軽くにらんだ。
「その時は、その時ですよ」
柴田は涼しい顔でそう言って、
本当に気にもとめない様子だ。
「でも」
「大丈夫ですって。暗いから誰だかわかんないし」
柴田はぎゅっと手を握って、笑う。
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