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「しかし、どうしたものか。そもそも落ち着いて考えてみれば、熱血教師に武で挑んではならぬ。武で挑めば良くて停学、悪くて退学じゃ。無事では済まぬ」
「さよう、普通の戦いではないのだ。知恵と策をもって挑まねばならぬぞ」
「ではどうする?」
沈痛な面持ちの中、おずおずとさまざまな意見が上がった。
まとめるとこうである。
機械工作部が独自に開発した罠を量産。
文芸部部長の作成した檄文で全校生徒に協力を要請し、囲碁部、将棋部、ゲーム部共同で配置場所を決める。
柔道部やラグビー部は鍛え上げた肉体で、主に外壁の補強等の力仕事を担うこととなった。
場当たり的な作戦であったが、もう、時間は無い。
檄文に漫画研究部がイラストを載せるところまで話は進んだ。
だが、これで本当に勝てるのだろうか。
誰もが不安に襲われる中、会議室に慌てて飛び込んでくる者がいた。
生徒会副会長である。
「会長、情報収集を行っていたコンピューター部から緊急入電です。『ネッケツキョウシ、シンロヲオオキクヘンコウ。ガクエンハシンコウルートカラハズレタリ』だそうです」
次の瞬間、会議室は歓声に包まれた。
「ああ、助かった。熱血教師は我らの学園には来ない。これで安心だ」
「では、宴にしましょう。幸い、ツクシとアスパラガスなら腐るほどあります」
料理部部長がそう宣言すると、調理室から甘美な香りが漂い始めた。
「ああ、腹が減ったのう」
柔道部部長がそう言うと、会議室はドッと笑いに包まれた。
「とりあえず、お茶をお持ちしましょうか。料理が来るまで、まだ時間がありそうです」
茶道部部長がお茶を用意し、和やかなまま、時間は過ぎていった。
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