第1章

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「俺は……ずっと……沙都が好きだったんだ」 そう言った涼が…… はじめて 男の子に見えた。 ただの幼なじみの涼が……男に見えた。 わたしの方がずっと背が高かったのに、いつのまにか追い越されて…… それでも、ずっと涼はわたしの幼なじみだと思ってた。 なんでも、わたしのこと分かってくれてて、言うことを聞いてくれる、都合 のいい幼なじみだと思ってた。 そして、今、男の顔で泣き出した。 サッカーしているときの真剣な顔とはまた違う、初めてみる涼の男の顔。 ゆっくりと、わたしの腕をはなしてくれた。 つかまれていた手首がジンジン痛む。 震えながら、涼のほほに手を伸ばした。
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