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「“根拠”のない勘働きの推測だけどさ…うん。いい線いってるね。やっぱり彰を選んだ俺の目に間違いはなかったのかな?」
「円?」
「俺もさ…他の星の種族は知らないけど、俺の星の種族のことなら話してやるよ。これが最初で最後のことだから、心して聞いてなよ」
「最初で…最後?星?種族?」
『しっかり聞いててよ♪』と無邪気な笑顔でフワッとウインクをひとつしてから、円は語り始めた。
「“宇宙人”と広く浅い言葉でくくってるけど、この地球上には沢山の“宇宙人”が来ているんだ。俺の種族ですら、全て把握できてない。時々ミスか威嚇のつもりか、空軍に見つかったりカメラに撮られてる奴等もいるが…俺たちはそんなミスはしない」
何も言えないでいる彰を見ながら立ち上がり、ゆっくり彰の横に近づき見下ろす。
「俺の種族は星の異常気象と進化の最中に起こった謎の遺伝子からくる体質変化の為に、出生率が大幅に激減することが早くからわかっていた。何百年も前からね」
男にしては色の白い小さめの手で、円は彰の頬を両手で包んだ。
「また、ずば抜けた頭脳と引き換えに俺達種族の平均寿命はこの星の半分だ。その為に自分達の子孫を残すうえで、一番適した種族を求め、長い間色んな星でリサーチしてきたんだ」
円は驚き目を見開く彰の眼鏡をゆっくり外し、机の上にコトリと置いた。
困惑の目の彰の頬を宝物のように撫でながら話を続ける。
「そして色んな条件に一番適していたのが地球人。ま、俺達種族と似てたしね」
いつもの、冗談ばかり言っている陽気な円とは思えないくらい、冷淡な目と声。
「そんな顔しないでよ。彰のことは大好きでかなり気に入ってる。だから話したんだよ。でもさ、ここまで聞いちゃったら潰さないといけないんだよね。キマリだから…」
「つぶす…?」
『ふっ』と鼻で笑って彰の髪をひっつかみ、円はベルトを外しながら続けた。
「抹殺。あるいは…母体となって果ててもらう」
華奢な腕から考えられないほどの力で彰を逃がさず、無理矢理口をこじ開けると、自らを喉元深く突っ込んだ。
苦しそうにもがく彰を抑えながら、円は優しい声で『彰…ママになってね。腐男子ならではの発想だろ』と言い、彰は焼けつくような熱いものを喉に吐き出された。
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