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「ぐは…ごぼは…ごほ…ごほ…」
「後は…待つだけだよ。楽しみだね」
着衣をただし、円はにこやかに先程まで座っていた椅子を彰の傍に引きずって置き、ゆったり腰掛け足を組んだ。
「ごぼ…待つ…って…かはっ…何を?インスタントラーメンじゃねえんだぞ!」
円は自分の髪に指をクルクルと絡ませニィと唇を開いた。
「何って、俺と彰の赤ちゃんだよ♪」
「ば…バカか?俺も おまえも…」
「男の子だよね。どっからみても」
ケラケラと笑ってから信じられないようなことを言い出した。
「確かに…ただの♂×♂じゃ無理だよ。だからさ、適した体に変わってもらわないとね」
円は机の上に置かれた彰のペットボトルを指差した。
「ねえ、あれってどこのミネラルウォーターか知ってる?」
「あれは…」
「いつも用意しているのは誰?」
「……?」
彰は裸眼になり、ボヤける視界に目を細め机の上に置いてある空のペットボトルを見つめた。
よく考えてみると、街中で見かける自動販売機で同じペットボトルを見た記憶がない。
「いつものは、体の中の機能を止め、胃液なんかを消しちゃう薬。最近腹具合がよくないだの便秘気味だとか言ってただろ?原因はソレ。地球人にはあまり向いてないんだけど…ごめんね」
彰は慌てて自分のお腹を撫でた。
何かしら気のせいかお腹が張り、少し膨れたようにも感じる。
「でね、今日最後に飲んでもらったさっきまでの水。あれは…ふふふ…疑似子宮内膜を作り、体の中の水分を“羊水”にするんだ。普通のお腹の中を妊娠中の子宮と同じにするの」
「よ…羊水?羊水だと…」
「そっ。で、さっき俺が出しちゃったのは、俺と彰の受精卵だよ。ちゃんと着床したかなあ?」
彰にはさっぱりちんぷんかんぷんである。
受精卵とは、卵子の中に精子が入り…
「卵子は?俺のって…」
「あ、難しく考えないでよ。彰の細胞から最高の技術を使い卵子として使えるものを作る。髪の毛一本からでもOK!」
『イエイ』とピースをする円を見ながら、彰の頭は混乱するばかりだ。
「ないはずの卵子を色々やっちゃって彰の卵子にする。すごいだろ?そして俺の精子とドッキングして受精卵を俺の中に保存してたんだ」
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