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「その、まさかなんです。コミックを購入する読者層は、妄想と現実を区別出来なくなって来ています。幼い頃からゲーム浸けで育った世代の特徴です」
「いらっしゃい! 今日は健ちゃんにしては難しそうなお話をしてるのね」
居酒屋おたふくの女将がオシボリと水の入ったコップを持って現れた。
「あっ、こんばんは。初めまして。柿原さんと一緒に仕事をさせて頂くことになりました。結城です。宜しくお願いします」
結城は立って挨拶した。
「あらっ、礼儀正しいこと。こちらこそ、宜しくお願いします」
女将は、枝豆を盛った小皿を二人の前に並べた。
「俺にしてはって、どういう事だ?」
柿原が不満そうな眼で女将の顔を見る。
「刑事はな。公衆の前では、それらしい話題を避けるものなんだ。それには野球の話がいい」
「あらっ、そうだったの! あたしは、てっきり野球の事しか頭にないのかと思ってた。ごめんなさい。知らなかったわ。健ちゃんが、そこまで配慮して話題を選んでたなんて」
「ま、まあ……分かりゃあいいさ。鈴ちゃん、今日は冷てえやつを頼まあ」
「はーい」
「缶じゃなく瓶だぜ」
「はーい」
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