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「暑くなりましたね。冷たくて美味しいものを用意しました」
そう言ってマスターは、冷蔵庫の扉を開けた。
学生達の前にフルーツパフェが並べられる。
「わあっ! おいしそう!」
「すごーい! 色もキレイ! でも、マスター、これって」
聡美がマスターを見上げた。
「ささやかなプレゼントです」
「本当ですか? うれしい!」
聡美の声のトーンが上がった。
叶恵の前にも同じものが置かれた。
「あらっ!」
「大丈夫。これはサービスです。小さなサプライズで、ご婦人は喜んでくれる。私は、それが楽しいのです」
叶恵は思わず微笑んだ。
マスターも微笑を返して、学生達の前に移動した。
「うわわっ! これヤバーい!」
「おいしーい!」
彼女達が口々に声を上げた時、不意に聡美のスマートフォンが鳴った。
「えっ、文集の件? えーっ、5万円も違うって、本当なの! まずいわね。影山さんは何て言うかしら。連絡がとれない? 私に? ううん、バイトは休みにしたけど。分かったわ。じゃあ、これから向かうから」
聡美は女子学生と小声で話している。
「マスター、ちょっと揉め事が出来ちゃいまして、出かけて来ます。1~2時間で戻りますから、この娘に……後輩で結花ちゃんって言うんですけど、小説の話を聞かせてやって下さい」
「分かりました」
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