UMA様は結婚したい

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   彼は慌てて物体X≪えっくす≫を回収すると、口の中に押し込んだ。 「興奮すると出ちゃうんですよねぇ」  照れ臭そうにはにかみながら、ごくりと喉を鳴らしてXを嚥下する。  飲んじゃった!  謎の物体を飲んじゃったよ!  ボールペンを握る手が、カタカタと震え始めた。  背中にどっと、嫌な汗が噴き出して来る。  限界だった。  私は震える手で紙面にペンを走らせた。 『奇行癖あり』  備考欄にミミズののたくったような字で、辛うじてその言葉を刻む。  この相談者を許容出来る女性が、果たしてこの世界にいるのだろうか。  私は乾いた笑みを貼付けて、遠くを見遣った。  アハハウフフ……。  仕事辞めてぇ。
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