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幻聴だろうか。
今、触手とか聞こえたような気がしたが……。
「えぇ~と、先ずはお名前をお伺いしても宜しいでしょうか……?」
腑に落ちないものを感じながら、私は資料を引き寄せた。
そして気まずげに腰を下ろした相談者に向き直る。
「はい、僕の名前はマェルヒゥン・ボルィドレンツォ・ビァーツガルィーツェと言います」
「――――」
そして絶句した。
ぎぎぎと、音がしそうな程にぎこちない動きで顔を上げる。
「――すいません、もう一度お願いします」
「はい、僕の名前はマェルヒゥン・ボルィドレンツォ・ビァーツガルィーツェです」
額からどっと汗が噴き出して来た。
無理だ。
発音出来ない。
「か、変わった――お名前ですね。ご出身はどちらに……?」
「第三銀河の外れにある小惑星群のひとつである、ノァラリウァーム星から来ました!」
思考が停止する。
ついでに呼吸も止まった。
今この人が喋ったのは、一体何語だったんだろう……。
銀河とか惑星とか聞こえたような気がする。
私の脳内に壮大な小宇宙が広がった。
何か色々なものが燃焼してしまいそうになる。
「えぇ~と……、失礼ですが年齢はおいくつでしょうか?」
「先頃脱皮をしまして丁度二ヶ月目になります!」
――は?!
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