確信犯じゃない

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―――「ふぅん・・・。 世間は連休だもんな。 彼氏の家って、もしかして札幌なのか?」 「うん・・・。」 ―――「だからお前、札幌に住む事にしたんだ?」 「・・・そうだよ。」 ―――「彼氏の家にはいつまでいるんだ?」 「19日・・・。 実は今日、私の誕生日なんだよね。 それで今、彼がお祝いしてくれてたの・・・。」 ずっと己一をほったらかしている事が心苦しくて。 事実を全て伝え、一刻も早くこの電話を切りたかった。 彼との縁は切れない。 そう思った事に対する安心感が、きっと私を焦らせた。 今ここで慧との電話を切ったとしても、きっと彼とは今後も繋がる。 だけどこのまま慧と話し続けていれば、私は己一を不快にさせ、安定した今の関係に亀裂が入ってしまう事を恐れた。
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