確信犯じゃない

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受話口から聞こえてきた懐かしいその声に、思わず顔を綻ばせる私がいた。 平然を装いたくても表情が緩んでしまう程、色気を帯びたこの低い声は私の心を強く揺さぶる。 だけど罪悪感を拭う事はできなくて、私は己一に背を向けたまま電話越しの彼と会話を続けた。 「・・・久しぶりだね。 急にどうしたの・・・?」 声を発するだけで緊張してしまう。 最後に会ったのは2ヶ月前の事だけど、もうかなり長い間声を聞いていなかったような気がした。 電話の向こうの彼は、どうしてこのタイミングで私に電話を掛けてきたのだろう。 彼は私の誕生日を知らないはずだ。 それなのに、どうして・・・?
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