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「それはそうと結衣君、
君は刀を扱えるのかね?」
「それが………」
「吉田稔麿含む長州の有力者に…!?」
「はい…」
「まさか去年の放火事件に巻きこまれていたとはな…」
「っつー事はアレ?
両親の敵討ちってとこか?」
「はい。
…妹はですが。」
刀が使えるか使えないかの話になった時、結衣は一年前の事件を思い出し、事の経緯を全て話した。
丁度、新撰組は過激派の先鋒・吉田稔麿を含む長州藩士達の放火事件に頭を悩ませており、指名手配犯として彼らを捜していたのだった。
「…妹は…ってお前、敵討ちとか考えてねぇのか?」
「…討ったから何だって思うんですよ。
それを親父と母さんが望んでいる?
それに女の結衣の手を血に染めてまで敵討ちをするなら、結衣を普通の女として生かせてやる方が何より親父と母さんはそう望んでいる。
俺は戦う事よりも妹を養えればそれで良いので…」
「それで勘定方に就いたのだな。」
「妹と全く意見違うんだな。
まぁその考え方が間違ってる訳じゃねぇけど。」
「でもさ、彼女は入隊したいんでショ?
一応入隊試験してみたらどう?
女の子だから誰かの小姓になったら危険度は少ないし」
先程の辰之助の発言に引っかかった武田。
そして辰之助に敵討ちを考えてないのかと問うと、敵討ちをしたからといって両親がそれを望んでいない…そして妹に人を斬らせる位なら普通に生きるのが妹の幸せの為であり、両親がそれを望んでいると辰之助はそう返答した。
すると永倉が辰之助の発言に矛盾を感じ、とりあえず入隊試験をし、実力を知った上で新撰組幹部隊士の誰かの小姓にしたらどうか
と案を出す。
確かに小姓は命の危険に合う事はまずないだろうと後付けて言った。
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