第2話「鏡心明智流」

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「本当に総司とやんのかよ…」 「医者呼んどく?」 「そこらの平隊士より勇気あんなぁ、あいつ」 そして、結衣は沖田に防具を渡されて連れられ、普段幹部隊士達が使う道場へとやって来た。 三馬鹿は普段沖田が手加減が下手くそなのを知ってる為、少しハラハラしている。 「結衣ちゃん、準備はいい?」 「はい」 「…あの女、刀は扱えんだな。」 「廣?」 「いや、構えがどっかの流派だった気がしてな。」 「鏡心明智流。」 「鏡心明智流?」 「他の剣術流派に比べ、気品、品位に満ちた流派。 二刀、居合、契木術なども含むな。」 結衣の竹刀の構えが鏡心明智流の構えで、見ていた谷、武田は結衣が鏡心明智流と見抜いていた。 そして結衣は竹刀を持っていたのか、多分居合を使うのだと、谷は後付けて言う。 「もしかしたら幹部入りになるかもな、あの女。 さっきまでの眼が違う」 「実力があったとしてもあの土方さんがどういうか分からないけどね」 「始め!!」 近藤の一言で、試合開始した。 「来ないの? …ならこっちから行くよ」 "ダンッ" 沖田は近藤の一声で結衣が直ぐに斬りかかって来ないのか、自ら結衣に斬りかかって行った。 「総司、油断すんなよ」 「谷さんが言ってた事が本当だったら面白いネ、この試合」 「うるせぇな…」 「どうしたんです?土方サン」 「さっきから何が起きてんだ?尾形。 ヤケにうるせぇ」 「あァ、それなら あんたが中々了承しない例の娘・市村結衣を沖田サンが道場に連れて来て、入隊試験やってますケド?」 市村…? あの…市村? 「入隊試験? …許可したのは誰だ?」 「近藤局長、沖田サン、永倉サン、藤堂サン、原田サン、谷サン、松原サン、武田サンの八人ですねぇ。」 先程から、道場から聞こえてくる声にイライラしていた土方。 近くを通りすぎた尾形は土方の一言に返す。 「ったく、総司が手加減できないっての知っててかよ…」 「止めてきましょうか?」 「イヤ、俺が行ってくる」 「はいはい。 …ククッ」 「何笑ってんだ(ハァ」 「イヤぁ、あの子、気づいたらどうなるか想像して面白い…なんて」 「要らねぇ事口走しんな。 さっさと巡査行ってこい」 「わっかりましたよー」 尾形は謎の一言を口走り、妖しげに笑い、土方の部屋から去って行った。
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