第1章

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「……テレビがないのでニュースはほとんど見ません。それで伊田芽は?」 「そうですか……伊田芽麻友さんはまだ見つかっていません。現在捜査中です」  志村さんが機械的にしゃべる。 「………………」 「狭山さん、狭山さん聞いてますか?」  気づくと志村さんが少し心配そうに僕を見ていた。隣の加藤はどうでもよさそうに僕を見ている。 「えっと……詳しく聞かせてほしいんですが、…もしよければ入ってください」  普段の僕からは考えられないような言葉であったが、ただ少しでも今は情報が知りたかった。 「私達も少しお伺いしたいことがあるので、少しおじゃまさせていただきます」  僕は志村さんと加藤を自宅に招き入れ折り畳み式のちゃぶ台を部屋の真ん中に置いたあと僕は台所へと向かった。お湯を沸かしほこりのかぶったコップをだして水で軽くゆすぎインスタントコーヒーを作った。  インスタントコーヒーを2人にだすと志村さんはコーヒーを一口のみ世間話しをし始める。 「パソコンが多いですね、3台以上はあるみたいですが……」 「仕事で使うんですよ、まあほとんど1台ですましちゃうんですけどね」  僕は愛想笑いを浮かべながら、椅子に座った。このような相手に気を使わなければいけない会話が必要なのが大人というものなのだろうが、僕自身とてもそれが苦手で世の中の営業系の仕事の人はある意味尊敬している。要件だけすませたい人間だ、これでも一時期は営業をやっていたのだから驚きだ。もちろん営業成績は悪かった。 「それで伊田芽の件なんですけど、犯人とかはまだ?」 「現在捜査中なので、詳しいことは申し訳ないがお答えできないんですよね。おい加藤」  そういうと加藤はバックの中から資料を取り出しそれを僕に渡してくれた。内容は大雑把ではあったがこのように書かれていた。
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