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「俺、超必死に走りましたよ! そりゃあもう陸上選手並みの!」
「……」
先生の方は困った顔をしていた。
これ以上授業を遅らせたくなかったみたいで、さっさと席に着くように促した。
男子生徒は深々と頭を下げて自席に座る。
「では、この方程式には――」
また先生の退屈な授業が始まった。
――そのはずだった。
「ごめん。えっと……瀧澤さんだっけ?」
突然名前を呼ばれたのだ。
「え?」
わたしを呼んだのはさっきの男子。名前は確か――
「あ、俺は坂本(サカモト)。坂本零(レイ)」
そう、坂本君だ。
一体わたしに何の用だろう?
「ノート見せてくれない?」
「ああ。いいよ。はい」
「サンキュー」
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