第1話 彼の笑顔

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 めいは他人事だと思ってほのぼのと頷いていた。 「――で、坂本のどこが好きなの?」 「どこって」    お決まりの質問が飛んできた。 「笑顔?」 「顔か」 「顔じゃなくて笑った顔だってば」 「どっちも同じもんじゃん。笑っているかいないかの違いだよ」 「違うよ」 「どんな風に?」 「それは――」  わたしは口籠った。  確かにあの笑顔に一目惚れしたけれど、どんなと訊かれたらどう説明したらいいか分からない。  また一口カフェオレを飲む。 「ん――」  もし、一言で表すならば明るい?   いや、違う気がする。  元気?
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