女子大生ミドリの悲劇

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◇ ある日私は大学の友人朝香、芽依と、山の中のペンションへ泊まりにいった。 そこで私は友人に以前撮った写真を見せた。 「これ、面白いよ。スマホを持ってグルリと回れば、周囲の景色が撮り込めるの」 「えー、すごーい」 「面白い!」 二人は画面タッチで東西南北クルリと廻しては面白がって見てくれた。 しばらくパノラマ写真を楽しんだが、飽きたので山を散策する為に外出した。 少し広々とした切り立った崖があったので、そこで二人を崖の上に立たせて360度の写真を撮った。 「動かないでね」 カメラは動いても静止画。 被写体は動かないほうが、コンピューター補正はあるものの綺麗に撮れる。 私はぶれないよう慎重にクルリと一回転して撮影した。 「上手く撮れたかな」 早速再生した。 二人は笑顔で写っている。 画面タッチで回転させながら三人で写真を眺めた。 「ここ、そのまんま!」 「まるで本当に自分がいるみたい!」 二人は自分たちが写っているので喜んだ。 「あれ?」 写真を見ていた朝香があることに気付いた。 「どうしたの?」 「いや、ここに女の人が写っているんだけど・・・。こんな人いた?」 朝香が写真を指さした場所に、髪の長い女がダラーと立っている。 二人のいる場所とは正反対の場所。 つまり私の後ろだ。 少し遠くで小さく写っている。 私は後ろを振り向いて周囲を見渡した。 「・・・」 誰もいない。 二人に訊いた。 「さっきはいたんじゃないの?」 二人は首を横に振った。 「いなかった。だから不思議なの」 その女の足が写っていないことに朝香が気付いた。 「この人、足が写っていない! 幽霊じゃない?」 「やだあ。こわーい」 芽依は怖がった。 「被写体が動いていて、コンピューターが補正できないとその部分はカットされることがあるの。きっとそれよ」 否定はしたものの、怖かったのでその写真は削除した。
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