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ペンションに戻り、談話室で私は得意気に360度写真を撮った。
今度は他の宿泊客やスタッフも大勢写っている。
被写体が動いて、カメラも動いているのに、すべてぶれずにはっきり写るところが凄い。
「賑やかな写真もいいね」
三人で見ていると、また変なことに気付いた。
「これ・・・」
部屋の隅にあの崖で写った髪の長い女がダラーと立っている。
宿泊客には見当たらない女。
さすがにこれはゾーっとした。
写真をペンションオーナーに見てもらった。
「この女の人に心当たりはありませんか?」
「・・・ないですね。宿泊客にはいないし。誰でしょう?」
オーナーは不思議そうな顔で言った。
◇
朝香と芽依と部屋で話し合った。
「さっき崖でも写っていたけど・・・」
「このペンションにもいるなんて・・・」
「・・・」
写真には写るのに、肉眼では見えない存在。
絶対幽霊だ。
朝香が恐怖にひきつった顔で言った。
「もしかしてこれって、このペンションにとり憑いている幽霊じゃない? 外に出た時は私たちに付いてきたとか?」
「キャア!」芽依は顔を覆った。
「私、怖い話、チョー苦手! ウワアア!」
芽依は泣き出した。
「幽霊は話題にすると寄ってくるっていうし、やめようよ」
私は怖がっている芽依の為に、話を続けようとした朝香を止めて無理やり終わらせた。
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