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母も呪力の高い方だった。
優しいおおらかな方だった。
そして父を愛していた。
父も母を愛していた。
「玲蘭、愛しているわ」
そう言って母は私の首を締めて眠らせてくれる方。
愛とは痛いものだと知っている。
母は最後、父に殺された。
それが二人の愛の証だから。
愛とは冷たくなること。
愛とは相手の魂までも欲すること。
相手を愛しているのなら、それが当然なのだ。
父は愛した女を次々に魂までも奪う方だった。
相手もそれを望んだ。
生の苦しみよりも死の優しさを相手に与えた。
日に日に私は彼を殺したくてたまらなくなっていった。
アイシテイルから。
彼の魂を私は欲した。
「ねぇ、私のために死んでよ?」
「えっ?」
「私を愛してるなら、私に殺されて?」
「いいよ」
彼は笑ってくれた。
「玲蘭、君は主様を受け入れるんだね?」
何故か、彼は悲しく笑った。
唇を噛み締めて彼は泣いていた。
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