助手席

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 線香をあげ、話しをし、飯を食った。 「思ったより元気そうで安心した」 と告げると、彼は「ありがとう」と言って微笑んだ。  帰りの車でも俺は後部座席に座った。  駐車場からバックで車を出し、数メートル走った所で、突然、 ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ………… と言う音が鳴り出し、シートベルトのマークが点滅を始めた。  彼は急いで車を止め、助手席のシートベルトを締めた。  見れば助手席に荷物などが置いてある訳ではない。 「なぁ、今のは?」  俺が恐る恐るそう尋ねると、彼は、 「どうやら居るみたいなんだ」 と言って、嬉しそうに笑った。 H25・7・16 by KAORI
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加