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部屋を出てトイレに駆けこむ寸前、自分でドアを開けるまえに内側から開いた。
だれかとぶつかりそうになってのめりそうになりながら立ち止まる。
「おっと。南奈、おはよう」
相手もふいをつかれたのは同様で、軽く万歳するように手を上げながら一歩下がった。
「大谷先輩……じゃなくて、お義兄さん、おはよう」
「なんか、そういう呼ばれ方って調子狂うな」
「……大学は卒業したんだし、いつまでも先輩って云うほうがおかしいよ。それより、どいて。急がないと遅刻しちゃう!」
「色気もたしなみもないな」
「ほっといて!」
はいはい、そうつぶやきながら大谷康哉(オオタニコウヤ)は脇をすり抜けていった。
つかの間、そのパジャマ姿の背中を見送り、南奈はトイレに入った。
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